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父親の家系から強度の近眼を受け継いだ視力矯正なしでは使い物にならないおれは今、ますます春めく北国の風に撫でられて、新しい眼鏡を二、三本欲しくなっている。

JINSの眼鏡、安いね。本気のやつから変なのまで、7本くらい買ってもいい気にさせられる。

ところで……

今窓の外を見ると、歩行器を押しながら時速0.3kmくらいでしか歩けないおばあちゃんがおそらくコンビニに向かって歩いているのを見つけた。

体が悪くなっても弱っても人間は死ぬまでは頑張って生きるしかないんだと思い、名状しがたいがしかしどこか温かな感覚に胸が満たされた。

ただここで、すぐ向こうのおばあちゃんに対して直接的に人間愛を発揮する手段はないと思う。別に誰かにおんぶして欲しくて歩いているわけではないだろうから、そんな提案は要求されていないと感じられるのだ。

20代にして富も名声も物質的なすべてを手に入れたAviciiは自殺した。それは生きていても幸福でなかったからだとしか思えない。人間は何のために生きているのか？

心地よいそよ風の吹く春を温かな陽光が満たしている。