A Note

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北京市が管轄する日刊紙「新京報」によると、赤ちゃんの父親のシェン・ジエと母親のリュウ・シーは4年前に交通事故で帰らぬ人となった。しかし、この夫婦は死亡する前に不妊治療を受けていたため、保管されていた受精卵を使い、子孫を残す道があった。


…なので両家の祖父と祖母4人はラオス人の代理母を雇い、既に4年前に死んだ父と母、つまりそれぞれの一家の息子と娘の凍結保存された精子卵子を用いての出産を試みそれに成功した。

コンドームやピルが発明された時点で、娯楽としてのSEXと子を成すための生殖とはもう既に分離されているんだけど、技術の進展に伴ってさらにおかしな状況が生まれているね。上のケースは特別だ。つまり赤ちゃんが産まれたその時点で、遺伝的な父も母も既に死んでこの世にいない。当然考えられる反対意見はこう。「そんな子供をこの世に導くことは許されるのか?」

子供が無事に産まれたことは祝福すべきだが、その子には産まれたそのときから父と母がいない。一体それはどうなのか。倫理的に肯定できる状況なのか? 何よりその子供は自身のアイデンティティをどこに求めたらいいのか? もし自分がこの世界に誕生した瞬間から既に両親は死んでいて、この世界に自らを紐付けるためのなんの生物学的な手がかりも求められないとしたら、成長の過程で「自分は何者なのか」という深刻な疑問やそれに引き続く抑鬱に悩まされるのではないだろうか。

科学技術のcutting edge=最先端は必ず規制や法律に先駆ける。古典的な人間の想像力など超えていく。これもその一つの実例。生殖医療における革新はこれからしばらく興味深い分野であり続けるだろう。