A Note

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NYT - (「エアバッグメーカータカタ、10年前に製品の危険性を認識していながらそれを隠蔽した疑い、元従業員の証言により」)

今や世間に名前も知れた、殺人エアバッグ製造メーカーであるタカタ。自社の利益のために、顧客の生命を軽視した疑いが非常に濃い。NYTが出した上の記事を引いて、僕は「本当だとしたらヤバイね。これタカタ潰れるんじゃない?」と書いた。それから1年半が経つ今、タカタはまだかろうじて潰れてはいない。しかし当然、先行きは極めて暗い。たとえ鬼の直腸の中だってタカタの今置かれている状況ほど暗くはないし暑くはない。

「これタカタ潰れるんじゃない?」と書いたとき、これから当然タカタにのしかかる巨額のリコール費用と、それにタカタの製造した粗末なエアバッグによる死者たち、その遺族が提起する訴訟によってまず持っていかれるだろう莫大な賠償金…、と具体的にタカタ倒産までのシナリオを描いていたわけではなかった。そうではなくて、きっと単にこの会社は潰れたほうがいいと思ったのだ。金儲けを人命に優先させる会社は市場から退場するのがいい。たとえそれで短期的には雇用が失われ取引先が困り、という混乱を招いても、長期的に見ればそれは人間のためになる。

もしタカタの製造した地雷エアバッグがあなたの車に搭載されていたとしたら、ちょっとした不注意かあるいはよそ見運転で、例えばほんの時速12kmで前を行く車の尻をつついたとき、次の瞬間には目の前のハンドル中央から射出される金属片が脳みそにめり込んでいるか、あるいは首の動脈が切断されて血が吹き出しているかもしれない。タカタの作ったエアバッグによって起きる可能性のある事故とは具体的にはそのようなものだ。最悪の場所から最悪のものが勢い良く飛んで来る。あまり楽しい状況ではない。

タカタはこれからどうなるんだろうか? タカタから部品の供給を受ける自動車メーカーを含めタカタを潰して利益になることは何もない、という日本の誰だったか株屋みたいな人の文章も読んだが、本当にそうなのかどうかわからない。タカタが消滅すればそのシェアを取りに行こうと今準備しているエアバッグメーカーなんて世界にいくらでもあるだろう。それに建前だとしてもアメリカ人はFairnessの感覚をとても重視するし、タカタみたいな卑怯なことをするメーカーにとても厳しいよね。しかもこの件ではVolkswagenディーゼル偽装問題とは違い、タカタのエアバッグが明確で直接的な原因となって人が何人も死んでる。タカタが10個あったところで到底まかなえないような、天文学的な懲罰的賠償金の支払いが命じられる可能性が十分にあると思う。

そんな会社に積極的に触りたがるのは何か意図を持った山師か自殺志願者だけじゃないかな。ホンダを始め取引メーカー各社が面倒を見られる範囲をすでに超えていないか。