A Note

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Claude Levi-Strauss - Structural Anthropology & other works (6 books)


レヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」他6冊を含むtorrent。世間的に名著とされる本ならまずillegalなファイルがtorrentで見つかるという世界になった。「向学心の有無にかかわらずしかしそれは違法だ」という闇米食わずに死んだ清廉な判事のような言い方は分かるが、しかし大学の図書館でレヴィ=ストロースを借りてただで読むのとこうしてWebを流れるepubをただで落として読むのと一体何が違うのか? 劇場公開前の映画さえ流出して自由に鑑賞される世界でcopy rightsという考え方自体の堅牢さまた妥当性が試されている。

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CHUCK PALAHNIUK IN CONVERSATION WITH TOM SPANBAUER

Chuck Palahniuk drives an inconspicuous white Prius station wagon.
チャック・パラニュークは平凡な白いプリウスステーションワゴンに乗っている)


一般的に言っていろんな種類の英文の中で、口語の書き起こしなのだから当然だがインタビューは読みやすいね。ニンニクの漬物をポリポリとかじりながらお茶を飲むかのようにすっと読める。パラニュークは映画「ファイトクラブ」の原作となった小説の書き手として有名な、人間の後ろ暗い欲望や死について、あるいは傷跡から覗く内蔵を見せるように本物の感情について書く作家だが、デリダが好きらしい。このインタビューの最後にその哲学者の名前が出てくる。

デリダというのが世間にはびこる安直な二項対立を退けたところで哲学的営為を継続した書き手なのか確かに僕は言えないがそのような紹介をよく見かける、ということを踏まえて続けると、パラニュークはデリダの概念として「Unresolved things(未解決の面倒ごと)」というものに惹かれ、中でも「abortion(妊娠中絶)」を、その最たるものとしてよく自作の中で用いると述べる。その理由は胎児ほど白黒がはっきりしない存在は他にいないからだと。それがすでに生命ならば堕胎は殺人になるがそうともなかなか考えにくいのだから…という、人々に終わりのない困惑をもたらす、どこまでも未規定にして不穏な、悩みの核として羊水に浮かぶ胎児、それを文学的なガジェットとして彼はよく用いるという。

愛について、自殺について、私たちが日々避けられない細々とした辱めや嫌なことについて、女のおっぱいはたくさん見ても男の勃起したペニスはまず見ることがない昨今の映像作品の現況について(映画「SHAME」を除いて)、進行したAIDSにより体の様々な箇所が障害されつつある彼の文学的なメンターを交えて、リラックスした空気の中で語られる。