A Note

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下のを書いたあとですぐに、親友の女を取ってそいつが自殺する小説としてああ漱石の "こころ" だ、と思いだしたが何を書いてたのか、ディテールをほぼ一切忘れている。確か10年以上前に一度は最後まで読んだと思うのだが、もしかしたら中学の国語教科書に掲載されていた抜粋を眺めただけだったのかもしれない。冒頭で主人公が鎌倉かどこかの海水浴場にいる情景から書き出されていたことだけ覚えている。読んでみようか。

でも考えてみると、誰かの女を取ってそいつが死んでしまうことの苦悩なんてことを書いた小説を中学生のガキに読ませてもなかなか分かるはずがないと思う。少なくとも中学のときの自分にそんなものを読ませても何を感じられたのか疑問だ。あの頃考えの浅いただのアホだったような気がするからだ。人間がこの世界の狡猾で悪魔的な側面に出会うのはもう少し年齢を重ねてからだろう。

小説や映画などの作品とその受容者との間に相互的な反応の発生することが鑑賞や読みという行為だとすれば、15で読んだ小説を50になって再読したときに、過去とはまったく違う解釈がそこに誕生してもおかしくない。もちろん作品それ自体が変わったわけではないから、過去とまったく同じものへ触れるのに以前とは完全に異なる新しい感触を得るのだとすれば、それは時間の経験を経て人間のほうが変わったのだ。