A Note

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Al Jazeera English - PEOPLE AND POWER - Island of music and murder

その発足の当初から見るとAl Jazeeraがかなり力をつけてきたような気がする。上の番組はAl Jazeera製作のドキュメンタリーで、番組のタイトルである "Island of music and murder = 音楽と殺人の島" とはカリブ海に浮かぶ小さな島国ジャマイカのことを指す。僕はレゲエを全く聞かないので、残念ながらジャマイカの音楽のことについては分からない。しかしそこで起こる殺人事件の多さについては前にどこかで読んだことがあった。

番組はジャマイカに住むRobert Hillという男性が遭遇した事件を取り上げる。彼があるとき車を運転していると赤信号を無視したパトカーが土手っ腹に突っ込んできた。車はひどく壊れた。彼は警察署へ連れて行かれ、そこで事故の被害者として証言を聞かれるはずだった。しかし散々待たされたあげくになぜか家へ帰され、24時間以内にまた来いと言われた。彼は翌日再び警察署へ赴くが、担当者はもうあなたの証言を聞くことはできませんと言う。彼がなぜだと聞くと担当者は、あなたはなぜ事故の起きたそのときにすぐ被害届を出さなかったのかと言う。あなたたちが後でまた来いと言ったんじゃないかと彼は返すしかないが、それで何とかなるようなまともな警察ではなかった。彼はそこでしばらく粘っていたが、最後には無理矢理警察署の外へ追い出された。"正義なんてどこにもない。誰がおれの車を直してくれるんだ? 怪我の治療費は?"

それから彼の周りを警察官が付け狙うようになった。彼は殺されるかもしれないという恐怖から家へ監視カメラを取り付けた。ある日警察官が複数でやってきて、事故に関する訴えを取り下げろと要求し、彼と彼の妻である妊娠8ヶ月の日本人の女性を小突き回し、暴行した。その一部始終はテープに記録された。彼は職位の高い警察官へ訴えを持ち込んだが、誰一人として助けてくれようとはしなかった。2009年12月8日、彼は警察官によって射殺された。警察の記録では、彼が銃を所持していたために発砲を余儀なくされたということになっている。彼の死から三ヶ月が経過してなお彼を暴行した警察官、射殺した警察官へはいかなる手続きもとられておらず、事件はいまだに "捜査中" のまま。

めちゃくちゃな話だという感想しかない。この世に腐敗した警察官ほど恐ろしいヤクザはいない。カリブの島国、南米の国々と聞いて真っ先に思い浮かべるのは政府の腐敗、汚職の蔓延だ。あえて言うが、もっときちんとしたほうがいいと思う。そんなことを言うのはばかみたいだ。しかしまるで呆けたようなばかな感想しか出てこないではないか。もちろん社会が構造的に、決してきちんとならないようになっているのだろう。ブラジルもジャマイカもきっとそうなのだろう。きちんとするぞと気合いを入れて腐敗や汚職がなくなるなら苦労はない。結局僕にはジャマイカの警察が芯までとろけるほど腐っているとしても、そいつらをどうしたらいいのかはよく分からない。せめてひどい話の多い世界だということを覚えておくだけだろう…。Robert Hill氏の冥福を祈る。