A Note

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よく20代の10年は重要だと言われる。大体その意味は分かる。30歳までに死んでしまう人の数は少ない。たいていはもっと長く生きるものだ。若さを失ったあとから本当の世渡りが始まるのだから、そのために必要な初歩的なトレーニングを20代のうちに済ませておけというくらいの意味だろう。後から金で買い戻そうと思っても決してかなわない若さと、そしてその若さに付随する無知とが特権的に与えられた人間。それが20代の男女だが、僕のことを言えば、あと数年で30歳になってしまう。しかしいったい何をしているのか? 

自分は何が欲しいのかも分からない男は、ばかみたいに立ち止まっている。突っ立ったままで、そのまま爺さんになってしまうつもりなのだろうか? ともかくこの世へ生まれたからには一人に一つずつ人生は与えられているのだが、そこからどれだけの利益を引き出せるかはまた別の話、本人の使い方次第だ。人生は時間から成っている。つまり人生の使い方というのは時間の使い方ということだ。

あれ、そんなことを書いていると、自分は降ってくる時間というリソースを片っ端から下水に流しているようなイメージが浮かんできたぞ。例えばこんなふうに無為に言葉をこねくり回してblogで上手いこと言おうとしている暇を当てて語学の勉強でもしておいたほうがいいんじゃないか? 

"…そう、それを5年続ければ… ちりも積もれば… 英語だってまだ満足に使えないのにblogの更新だろうか… 40歳になったときにはきっと真面目に勉強してきた連中とものすごい差がついているぞ… うわっ、40歳だなんてもういいオッサンじゃないか… 今後の世界では中国語だって使えた方がいい… もちろんロシア語もフランス語も使えるに越したことはない… そして忘れてはならないのがスペイン語だ… 語学の勉強にはとにかく時間がかかる… 語学に限らない、この世界である程度知的に意味のある労働力を売って生活していこうと思えば、無駄にしていい時間というのは一秒もないくらいなんだ、勉強することが多すぎて… なのにこいつには危機感がないじゃないか… バカはとにかく危機感を持てない… つまりこの男はバカじゃないだろうか… 酒飲みながらblogの更新は破滅への道を自ら舗装することに他ならないぞ…"


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いつもなら書店で足さえ向けないようなジャンルの本を売るAmazonのページへも、WWWという網の目に絡め取られてもがいているうちに、何かの拍子でたどり着くことがあるものだ。今回はこれだった。Googleというエンジンへ何回か手間をかけているうちに偶然流れ着いたのだ。女性が女性に向けて書いた恋愛指南の本。今ちょっと眺めただけでもたくさんあるみたいだ。みんな意中の男を捕まえるために参考書を取り寄せ、いろいろな技のことを勉強しているのだろうか。少し怖いような、頭が下がるような思い。

一般的に言って、男たちよりは女性のほうがはるかにしたたかに、戦略的に相手選びについて考えているように思える。男というのはそういう場面で基本的にはバカのような気がする。例えば少し綺麗な女性が自分に好意を持ってくれるようなことがあれば、それでのぼせる。さっさと盲目になってしまう。選ぶどころか考えることさえしない。たぶん身の程を知らないのだ。だから外交や諜報の世界でハニートラップのような技術が成立する。自分のような男にこれほどいい女が寄ってくるとは明らかにおかしいと思うべきなのにそうは思わないのだ。一度弱みを握られたら後はもうされるがまま。ひっかかりたくない計略。

美男子を近づけることで、女性にその手が通用するだろうか。どうもそうは思えない。彼女たちは男よりはるかに自分を知っているし、自分の能力を厳しく査定している。若い女性を "スイーツ" などとひとまとめにして呼んでバカにする人たちもいるようだが、明らかに間違っていると思う。彼女たちは本当に賢いし、こう言ってよければ狡猾だ。男なんて足元にも及ばないくらい。そしてそれは全然悪いことじゃない。女性には男のような腕力がないのだ。社会的にも男に比べいまだに劣位に留めおかれている。知恵くらい使わなければこのどうしようもない世界を生き抜いていけない。

彼女たちが相手選びにおいて高度な戦略性を発揮するとして、それは女性の置かれているそのような社会的な地位と無関係ではないと思う。"本命の彼とうまくいく" という言葉をどのように定義するかにもよるが、男女が交際するような場面で "うまくいく" と形容する場合には、たぶん最終的には結婚という契約が視野に入ってくる。女性はまだまだ男に夢を託さざるを得ないようなところがある。男たちに伍して社会の中でキャリアを積んでいくことに女性だけの困難もあると思う。結婚して後は社会的に成功する夢を旦那に託そうとするなら、配偶者の選択により慎重な態度が要求されるとしても無理はない。

ところで最後に、自分自身は果たして書名にある "恋のルールが通じない" とされる "いい男" に分類されるのだろうかという疑問。しかしそれは本当にどうでもいい疑問なのだ。そもそも女性からいい男だと思われるために生きているのだろうか? 自分なりのプライドを持って、これだけは譲ることができないというものを売り渡すことなく生きられればそれで十分だ。それで女性が相手にしてくれるかどうかは賭けてみるしかない。向こうの話だ、自分がゲス野郎か、いい男か、そんなのは向こうがそのときの気分で勝手に決めることだ。僕は関知しないし、気にもしない、"最低の男" だろうと "クズのような男" だろうと、望むところだ、もちろん褒められたら、そのときはありがたく受け取るだろうが…

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こんなところで一人で気の触れた道化みたいにしているのはもう止めだ。ゴダールの映画? ただの骨董品だ。クソ面白くもない。僕に欠けているのはいかにも女性の気を惹きそうな紳士的な記述で毎日の空欄を埋める努力だ。それこそDやHみたいな代理店に勤めているような色男、スカした男になりきればいいのさ。男一人で寂しく作って食べる料理の話、今読んでいるドストエフスキーの話、今飲んでいる酒の話、たまに下品にならない程度に色っぽい話。つまり週に一通や二通は女性からファンメールが届くようなblogを書く努力に欠けている。どうだろうか? どうもこうもないが…

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最近の噂


山形閣下がこのたび赤十字から勲章を授与されたとのこと。下郎ども、刮目して見よ! くそー僕も欲しいなあ、一個! よーし、負けちゃいられないよ! そのうち会社でも起こして育てて、金作って、そして赤十字にその金ガンガン突っ込んでさ、僕はもっとでかいのをもらうんだから!

追記:ほんと下らないよ。自分で見てて寒くなるね。後から。