A Note

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いや、あのCMを初めて見たときに僕もそう思った。"なぜドバイなんです、高須院長" きっとCMを撮影したその頃ドバイに勢いがあったからで、特に深い理由はないのだろう。ところで僕の気になるのは、美容外科の業界では一般的に包茎手術でどれくらい稼いでいるのかということ。包茎手術での稼ぎがその種の病院の利益全体に占める割合は普通に言ってどのくらいだろうか。もし10パーセントもあるならそれはすごい包茎産業ではないだろうか。僕は生まれてから今まで定期的に購入するようになった雑誌を一冊も持たないが、それでもそのへんの公園でサッカーボールを蹴ったり水風船を投げ合ったりして遊んでいた小学生のときに "ジャンプ" を2回くらい買って読んだことがあった(そんな気がする)。ジャンプにもいろいろな種類があるのかもしれないが詳しくないので分からない。たぶん一番ポピュラーな一週間に一回出るジャンプだ。そしてその中に必ず少年たちに包茎手術を受けさせようとする美容外科の広告が入っていた(そんな気がする)。上野クリニックがその筆頭だ。中高生を主な購買層に持つ雑誌へそのように広告を出して "包茎だと女の子に嫌われるぞ" という刷り込みを徹底的に行う。そしてその上で救いの手をさしのべるのだ。"心配ないぞ、少年。私たちがその皮を切ってあげよう。ただし相応のお代は頂くよ"  

さらに "包茎は、嫌かも…(女 19歳)" などと女性による適当なコメントさえでっちあげることによって(だいたいどこの誰なんだその女は)、四六時中女性のことで頭がいっぱいの中高生男子の恐怖心を煽る。そのようなあまり褒められないマーケティング手法に私たちは晒されてきた。2ch美容外科医が集まってああだこうだ語り合うようなスレッドで聞けば、美容外科の業界で包茎手術が占めている地位について教えてくれるかもしれない。しかしきっと僕は2chでそのような質問をしないだろう。なぜなら、書いているうちに徐々にその問題への興味を失ってしまったからなのだが、しかし包茎手術だけではない。購買者の恐怖を喚起するというマーケティングは普遍的だ。リステリンもそうだろう。"もし誰かとキスするときにあなたの口が臭かったらどうする?" その種の悪夢を避けるためにはリステリンを使わなければならないような気にさせられる。でも口の臭いとか雑菌の除去とかは別としても、リステリンはなんかすっきりして一度使うとやめられない癖になるおいしさ。今ではもう歯を磨いた後であれでゆすがないと落ち着かないといういいカモなのだ。リステリンいいかも、と思うようになった企業のいいカモだ。

さて、以上のダラダラ話をまとめると結論は…… そうですね、特にありませんが、人間の恐怖心に訴えかける売り方は強力です。包茎に関して言えば私たちは、不安を煽る広告手法によって、自らのペニスを何か心配なものであるように思わされる状況へと誘導され、揺さぶられ、そして自らを救い主であると定義づける美容外科医たちから、特に必要もない包茎手術を購入させられている場合があるとも考えられますね。

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もし僕が神だとしたらハイチだけは狙わなかっただろう。酷薄な世界の理由なき不幸。この世界に神などいないということが分かる。もし仮にいるとしても、そいつは万能ではないし慈悲でもないのだ。愛そのものであるところの神がなぜ、よりにもよってハイチのような、世界で最も貧しい人たちがひしめいて暮す厳しい土地を選んで地震を起こすのだろうか? 僕には不思議だ。ただ不思議だ。もし神がいるならそいつに向かって異議申し立てをしたい。"お前はどうしようもないクズだ" と僕は言うだろう。さて、僕はこれからハイチに少し金を送るだろうか… 人間として、少しでもいいから金を送るべきなのだろう。自分で現地に行ってがれきの下に埋もれた人々を救い出したり、あるいは既に息絶えた大勢の人々を掘り出して死体袋に詰め込んだりする、その手助けをすることが出来ない以上は。