A Note

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Top SKorean model found hanged in Paris apartment

In an Oct. 30 entry on her blog, Kim wrote she was "mad depressed and overworked," and in another entry said "the more i gain the more lonely it is ... i know i'm like a ghost." The last entry on her blog, dated Nov. 18, was titled "say hi to forever" and carried a video of the song "I Go Deep" by British singer Jim Rivers.

(10月30日のblogでKimは "すごい鬱 働き過ぎ" と書いており、また別のエントリーにおいては "進めば進むほど孤独になっていく 私はゴーストになってしまった"  また最後のエントリーとなった11月18日の記事においては "say hi to forever(こんにちは永遠)" と題しイギリスのDJであるJim Riversの曲 "I Go Deep" のVideoを貼っていた)

僕はこれまでDaul Kimの名前で活動していたという彼女のことを知らなかったのだが、パリを拠点に活動する韓国人のモデルだったらしい。まだ20歳だったが既に素晴らしい実績を持っていた。彼女について過去形で語らなければならないのはこれが自殺を報じるニュースで、彼女は既に亡き人となっているからだ。彼女が書いていたblogにおいてそれが最後となったらしい "say hi to forever" という記事のタイトル。そしてそこに貼られていた楽曲の題が "I Go Deep" であるということを考えるとき、それらがそのまま彼女の決意を指し示す言葉であったと考えても深読みにはならないように思われる。"I Go Deep" という。もちろん表現者ならば限界を設けずに行ける限りDeepな領域まで行くべきだし、僕もどちらかといえば間違いなくDeepな領域を志向する人間だ。しかし生と死の境を踏み越えてしまえば帰ってこられない。彼女はどこへ行こうとしたのだろうか。本当は死にたくなかったのではないだろうか。部屋で首を吊っていた彼女を最初に見つけたのは交際していたboyfriendだということだが、その光景を彼は一生忘れることがないだろう。このことが一生心の傷となって残るだろう。遺族も苦しむのが自殺だ。

才能のある人は孤独だ。RIP.

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きょうの世界
http://www.nhk.or.jp/kyounosekai/caster/index.html


丁野奈都子さんと言うらしいのだが僕はなぜかこの人が喋っているのを見ると胸がモキュモキュする。なぜだろう。まさかここからいわゆる "恋バナ" のようなものが展開しようというのか。しかし…ここでは真面目な話をしなければならない。今日は帰還兵の話題を扱うようだ。深刻な問題だ。PTSDの話だ。戦場へ送られた兵士は周囲を全て敵に囲まれ、いつ殺されるか分からない極度の緊張状態に置かれたままで日々を過ごす。人間というのはそのようなストレスに耐えられるようにはできていないから壊れてしまう。たとえ軍隊を辞めたとしても、その後ごく普通の日常生活を送ることさえままならなくなってしまう人もいる。

アメリカには表向きには徴兵制度はない。しかし現実には事実上の徴兵制としか言いようのない構造があるのだ。それは "貧困徴兵制" とでも名付けることができる。軍のリクルーターアメリカの寂れた田舎でフラフラしている10代後半からの男女に声をかけて回っている。軍隊の他にろくな就職先もない掃きだめのような田舎で。リクルーターが飴玉をちらつかせて勧誘する。除隊した後に大学に進学するための学費が出るぞなどと甘い言葉で誘う。適当に嘘をつく場合さえある。リクルーターにも厳しいノルマが課せられているからだ。そのようにして貧しい家庭の子供たちが軍隊に入らざるを得ない構造ができあがっている。そして彼・彼女らはイラクアフガニスタンへ送られるのだが、そこには英雄的なものなど何もない。戦場はただの地獄だ。いつ殺されるか分からないから怯えて過剰に防衛的になる。かといって自分が殺される前に誰かを殺せば自分の心まで死んでしまう。自分は人を殺したのだという傷を一生抱えて生きることになる。そのようにして人間の心が壊れる。

ひどい話だ。そして金持ちや政治家は自分の息子や娘を絶対に軍隊には入れない。特に政治家たち。自分たちで戦争を始めておきながら自分たちでリスクを負う気はないのか? 貧しい家の子らをせっせと戦場に送って自分はぬくぬくとしている。やりきれない話だ。

ところで僕はちょっと丁野奈都子さんのファンだ。なぜかは分からないのだが。不思議だ。

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ふいに考えるのは一番最初にやった人間が一番偉いということだ。つまり納豆を最初に食べた人間が一番偉いということだし、ターンテーブルを最初にこすり出した人間が一番偉いということだ。まず納豆の話をしよう。納豆という食べ物はどのようにして現在のような確固たる地位を得るに至ったのだろうか。納豆の誕生について。誰か豆を藁に包んで放っておいて腐らせたらおいしくなるかもしれないと予測し、周到に計画して納豆を作った納豆の父(もしくは母)のような人がいたのだろうか。僕はそうは思わない。そうではなくてまず最初にただ腐った豆があった。それはねばついていてしかもとても臭かった。とうてい食べ物であるなどとは思われなかった。それにも関わらず誰かが蛮勇をふるってそれを食べたのだ。どうしようもないばか者だったのかもしれない。他に食べるものがなくて腹が減って死にそうだったのかもしれない。そうでもなければ誰がねばねばして腐った臭い豆を食べようとするだろうか。とにかく、恐ろしく勇気のある人間がいたのに違いないのだ。そして彼(もしくは彼女)がその腐った豆を口にし "意外といける" とその舌で感じたその瞬間に、この世に "納豆" という概念が誕生したと考えたいし、僕は納豆が好きなのだが、その人に感謝したい。

次にターンテーブルについて。何十年か前のある時点まではそれは決してレコードをこすってキュッキュ言わせるものではなかった。そんなことをすれば絶対に "壊れちゃうよやめてよ" と言われた。完全に間違った使い方だった。伝統主義者はそのような使い方を厳しく糾弾した。しかしそれにもかかわらずレコードをこすり続けた、頭のおかしい黒人たちがいたのだ。本当に狂った連中だ。そしてそいつらのおかげで今やレコードをこすってキュッキュ言わせるのは普通の使い方になってしまった。今レコードをこすっている世界のDJはその最初にレコードを擦り出したおかしな黒人たちの子供たちだ。そして僕はそんな風に狂った人たちが好きだ。世界で最初に腐った臭い豆を口にすることさえためらわず、完全に間違った接し方でターンテーブルとふれあう。本当に新しいものを生み出せるのはそんな自由な魂だけだ。