A Note

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圧倒的な才能で黙らせる、みたいな映画が撮れればいいのにな。…と、もちろんこれは馬鹿なことを言ってる。だってまあ誰だってそう思ってるわけだから。そしてそう思ってるうちのほぼ100パーセントの人にはもちろん才能というものはない。でも10000人に1人くらいは明らかに水準の違う人がいるのではないか? こいつは本物かも、みたいな。で、やっぱりみんな自分がその10000人のうちの1人の本物だと思っている笑 それはかなり滑稽で笑えることだし、なわきゃねえだろとしか言いようがない。そう、自分自身に何度でも "なわきゃねえだろ" とカマすべきだ…


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ブランド発の映像作品 こだわりの世界 物語で表現
http://www.asahi.com/fashion/beauty/TKY200906120236.html


要約すると、シャネル、ディオールユニリーバなど、ショートフィルムという手段で自社ブランドのマーケティングを図る服飾企業が増えているという記事。僕は富士登山電通博報堂の社員ではないし、広告批評の読者でもない。いかにして商品を売りまくるかということについて頭を悩ます習慣は僕にはなく、もちろん業界の事情になど詳しくないから他にもそのような会社はあったのかもしれないが、上の記事であげられているブランドなどよりも遙かに以前に、BMWがショートフィルムを配信していたのは覚えている。配信されたすべての映像に主演していた俳優の名前を忘れてしまったのだが、彼は "Children of Men" に主演していたし、あとは "Closer" でもジュード・ロウジュリア・ロバーツなどと共演していた。名前を忘れてしまった彼はジュード・ロウみたいな線の細く繊細な雰囲気とは正反対の、どちらかというとストレートな男くささを魅力とする俳優だ。僕はBMWが制作した作品をいくつか落として見たのを覚えているのだが、もちろん作品によって違いはあれどおおむねその内容も良く、非常に大きなコストのかけられた質の高いものだった。


Powder Keg (2001)
http://www.imdb.com/title/tt0285930/


10に満たないくらいは撮られた作品のうちの一つをIMDBで見つけた。彼の名前はそうClive Owenだった。特に上にリンクした "Powder Keg" という作品は僕は好きで、お勧めしたいと思うのだが、果たして見る機会があるだろうか。とうの昔に配信サーバーは閉じられている。この作品を撮ったのは、菊地凛子も出演した "BABEL" を撮った監督、Alejandro González Iñárrituだ。BMWが伊達にこのプロジェクトを手がけていなかったことが分かる。映像のありかだけど、Torrentの扱い方を分かる人であればここ*1BMW Filmsの全エピソードを固めたファイルがある。著作権の問題がなくはないと思うのだが、これは元々無償で提供されたショートフィルムでもあることだし、BMWの法務の人たちも再配布を黙認してくれると信じて。

上で言及した "Powder Keg" という作品のみここに*2Uploadしたので暇な方はJavaScriptをONにしてどうぞ。サービスの内容を読む限りではこのファイルはこれから7日間だけここにあり、それ以降はない。7日経たなくても著作権侵害ファイルだと判断されれば消されてしまうはずだけどたぶん大丈夫だと思う。これは一人の報道写真家をテーマにした本編8分程度の小品なのだが、犠牲というものの意味を考えさせずにはおかない力強い作品に仕上がっている。個人的にはBMW Filmsの数ある作品の中でこれが一番だと思っている。作品の冒頭で彼の置かれている状況を説明する文章が映されるのだが、その文章だけ以下に訳しておく。



  >>Times war photographer,
   Harvey Jacobs, was wounded
   after witnessing the massacre
   at Nuevo Colon.

   In a desperate effort,
   the United nations sent a vehicle
   to get him out.


   (Times誌所属の報道写真家Harvey Jacobsは
    Nuevo Colonにおける虐殺行為を撮影している最中に負傷する
    絶望的な状況から救い出すため
    国連は彼のもとへ一台の車を手配した)



その車のドライバーが仕事師Clive Owenになる。ただ字幕はないから英語が聞けないと厳しい。僕もきちんと聞き取れないところが多い。どこかにスクリプトがあればいいんだけどGoogleしても見つからない。ということはたぶんない。ただ細かな台詞は理解することができなくても映像が多くを語ってしまうので筋をつかむことはできる。確かに心に触れてくるものがある美しい作品だ。



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