A Note

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…パリの人たちは花は置いてまず先に犬の糞を拾え、などと駐日フランス大使を当惑させるようなことを書いてしまったのではないかと思ったのだが、今ではすでに意見が変わっていて、パリの人には、犬の糞よりもまず先に、サルコジを拾ってどこかへ捨ててきて欲しいように思った。このままでは彼は来年には洞爺湖に来てしまう。洞爺湖畔には一週間の賃料が300万円するような大邸宅はないから、あの男の自尊心を満足させられるかどうか分からない。地元の人もげんなりしてしまうかもしれない。

僕はサルコジはまずあの人の顔が好きではなかった。僕は投票前のテレビ討論会をニュース映像で10秒間ちらっと見ただけで、頭の切れや掲げている公約などは一切考慮の外にして、ただ顔だけで、ロワイヤルのほうが人間として上質なのではないかという判断を下していたから、選挙の結果が出たときには僕はフランス人は選択を誤ったのではないかと考えたが、しかしそんなことを今さらというもので、これはばかを選んでしまったかもしれないぞと今さら後悔しても遅い。サルコジを選んだフランス人はサルコジを選んだフランス人で、サルコジを選ばなかったフランス人はサルコジを選ばなかったフランス人で、そしてサルコジ本人はサルコジ本人で、今後もやっていくしかない。

サルコジの妻というのが、なかなかにワイルドな振る舞いを信条とする女性である様子で、この国のアベ坊ちゃんの夫人もあのくらい奔放な人だったらと考えてみるのもそれなりに面白いが、それはあり得ないとすぐに自ら打ち消す。

フランスの気に入らないところはたくさんあるけれども(例えば人々が意地の悪い皮肉屋であるところや、パリのくせに糞だらけであるところなど)、恋愛に関しては、あの国の自由なやり方はかなり素敵なものだと思う。妻がいようが夫がいようが恋愛はするし、寝たい人とは寝て、後にしこりも残さない。良いことだし、あの国は"他人と同じならば何でもいい" という日本とは正反対の、徹底した個人主義が社会の基調なので、人々が自然とセルフ・コントロールに長けていくようになるのだろう。私は愛に関しては一つしか知りませんから、という愛の信仰者のような人にはとても受け入れがたい話だろうけれども、そうでない割と自由な考え方を採る人たちにとっては、素晴らしいやり方だということにもなると思う。


("駐日フランス大使" でGoogleすると、最上部にはてなダイアリーの一アカウントが登場したのにおおと思ったが、今までこれには無知だった)


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こういうことをこそ、日本人は英語を用いて書かなければならない。日本人は徹底して日本語だけで書いているから、World Wide Webというのに何がWorld Wideなのかは全く分からないぞという奇妙な笑える事態になっていて、今は海岸線よりもむしろ言語によって内向きに鎖国されている。

当たり前のことだけれども、日本語なんて日本人以外は読めないのであって、世界に何か聞かせたいことがあるなら英語で書かなければだめだ。

向こうから見て日本なんて世界のはずれの極東に繁栄するエキゾティックな島国に過ぎない、その程度の認識しかないんだと知らなければならない。


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ファッション・デザイナーはなぜKenzo TakadaとかIssei MiyakeとかShinichiro Arakawaとか、名前をひっくり返してしまうわけだろう。

日本人の名前をひっくり返して格好良いみたいなメンタリティからして、たまらなく卑屈だ。名前だって何だってひっくり返しますからあなたたち白人の仲間に入れてくださいね、みたいな、妙にへりくだった上目遣いが透けて見える。別に殴られた犬ではないのだから、そんな目つきをしてまで白人の連中にすり寄って行く必要はないんだよ。おれは名前を絶対にひっくり返さないからな、クソが、みたいなデザイナーがパリにデビューすることはないのだろうか。


日本人の氏名の表記は"苗字" "名前" という順序があるので、それを堂々と使えばいい。"名前" "苗字" が世界的な標準だよと誰か違う国の人に言われたら、"ええ、それはあなたの標準ではあるのでしょうが、私のそれは違います。お間違えなきよう。" と答えればいいだけだ。 


ひっくり返さなくても、表記は"YAMAGATA Hiroo" で通じる。(僕はあの人のこういうところが好きだし、頭の悪い人には決して容赦しない姿勢も好きだ。物腰柔らかな洗練されたセリーヌという感じがする。) 欧米のコロニアリストたちの耐えられない"がさつさ" には既に辟易してる。名前の順序をひっくり返して格好良いと思わされるまで飼いならされたら連中の愛玩犬でしかない。


(追記: なんだかこれだと、なぜかファッションデザイナーだけを選んでボロクソにけなしているみたいだ。意図は全く違って、そうではなくて、批判したいのは"名前をひっくり返すことを無条件に格好良いと信じ込んでいる日本人" の総体、つまりフランスかぶれ、イタリアかぶれ、アメリカかぶれ、イギリスかぶれ、ドイツかぶれ…  脱亜入欧、和魂洋才、   日本語には変な四字熟語がある。アジアを捨てて欧州へ入ろうとか、日本の魂に西洋の才能とか、とても屈折したこの国の立ち位置をよく表している。)



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