A Note

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COVID-19 Resource Centre
https://www.thelancet.com/coronavirus



Feasibility of controlling COVID-19 outbreaks by isolation of cases and contacts
https://www.thelancet.com/journals/langlo/article/PIIS2214-109X(20)30074-7/



世界各地で静かに素早く進行しつつある武漢コロナウイルスパンデミックは疫学的な大事件でもあるから、世界の研究者たちは今それについての論文を量産している。上の2つ目は2月28日にLancetでPublishedになったもの。Lancetというのは医学の論文が載る媒体としては世界で最も古いものの一つで、また質的にも最上級のものと見なされる。Lancetに論文を載せる、載せられるような論文を書くというのは、たぶんはてなでこんなどうでもいいようなBlogを維持するよりもはるかに難易度の高いことでしょう。

上のリンク2つ目の論文は、そのウイルスの他人への感染しやすさだとか、あるいは無症状の潜伏期間中にも他人を感染させる能力を持つのかだとか、そういう武漢コロナウイルスの特性をまず数値化して数理モデルを組む。そして、ではそのウイルスを効果的に封じ込めるためにどれだけの社会的な努力や具体的な政策が必要なのか、その国の政府と国民たちが示す封じ込め努力の程度をいくつかのシナリオごとに数値化して、ぜんぜん頑張らなかった場合、ちょっとは頑張った場合、すごく頑張れた場合という場合分けして示すもの。

ぜんぜん頑張らなかった場合は感染者増えてヤバい、すごく頑張れた場合はまあちょっとはマシ、という結論を読み取った。でもこれでは本当に適当すぎる要約。

このウイルス危機についてはどうしても人間たちがパニックになっているので、過度な楽観や悲観など極端に振れた意見が横行しやすい。流通する文章にも感情過多なものが増えてくる。それは仕方がない。でもだからその浮足立った雰囲気にEvidenceとか知的厳密さでカウンターを当てたほうがいい。権威ある医学雑誌にこれからもたくさん載ってくるようなEvidenceに基づいて書かれた英語の論文を読み解いて解説する、ということができるなら絶対そっちをやったほうがいいだろう。

現場でこれから増え続ける感染者を診ていく医師の人たちはどうせ疲れ果てて時間もなくなるし読んだ論文を解説してる暇なんてなくなるから、医療従事者でない外野で楽しみと好奇心でこういう論文を読んでるような自分みたいな人間がきっとそういうのをやってある程度科学的に厳密な研究を日本に流せるならそういうことは積極的にやったほうがいいだろう。