A Note

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冷房の足りない室内で額を流れ落ちる汗の粒の速度よりも調子の狂ったWifiが意中のページを連れてくるスピードのほうが遅い状況下で自分の人生のつまらなさについて考えてもとてもいい結果を生まない気がしたので、夕食を摂りに外へ出ることにした。歩いて10分ほどの場所に600円で悪くない定食を出す歴史の古い小さな店がある。ところで少しのあいだ楽しい間違いのように一緒に住んでいた女性と円満に別れて住みかがふたたび別々になった。まだその別離から数ヶ月も経たないそれは最近のことだ。それからもFacebook上でお互いに他愛ない生活上の悩みや人間関係に関する相談とも言えない世間話のようなわりと長めのやりとりを交わしていた。しかしその気持ちも距離によってやがて冷めてくるものだ。返信の間隔が長くなり、内容が短くなった。僕の叔母が、数年間仕事上の都合でやむを得ず遠隔地に別居を続けてから妻と離婚することになった、彼女の息子の一件について言った言葉は正しかった。「体が離れると心も離れる」 物理的な親密さやソファで何をするでもなく体を寄せあっている時間は相手に対する真剣さを維持する上で意識せずとも大切な役割を果たしているようだ、たとえSkypeという福音を通じて相手の性器を見、SEXするとしてもそれはあくまでも不完全な代替物でありそこに生き物同士の直の粘膜の触れ合いがないことはたしかだ。