A Note

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5年前に買ったG-SHOCKを無くしてしまった。でもどこか外に置いてきたという覚えがない。部屋の中にはあるという感覚を持っているのだが、しかしいくら探しても見つからない。だからもうあきらめて放っておくことにした。僕は腕時計をたくさん持っていない。だから新しいのが必要になった。

スマホの普及で誰もが時計を携帯する時代になり腕時計の必要性が減じたという言い方があるけど、僕に言わせればそんなことはない。僕は腕時計は必要だと思っているし、外に出るときはほとんどいつも何らかのものを左手に着けている。

そもそも時刻を確認するだけのためにポケットやあるいはカバンに手を差し込んで何かを取り出すという身振りがわずらわしい。そんなことはしていられない。そのとき腕に時計を巻いていれば、左手首の文字盤を目の方へ傾け、そこへ視線をやるという一連の動作は0.5秒で済む。

僕は今のところパテック・フィリップの150万円の時計は買えないので、CASIOの1500円の時計を買おうと思っている。ただもし仮に僕が150万円の時計を持っていたところで、僕が150万円の時計を1500円の感覚で扱えるほどのバカみたいな大富豪でない限りは、ある程度大事に扱おうとするだろう。

それをつけたまま顔を洗ったり、またジョギングするときに巻いて出たりもしないだろう。それではろくに使えないではないか。時計のくせに役立たずもいいところだ。

150万円の時計は二つの機能を持っている。一つは正確に時間を数える時計としての機能、そしてもう一つはそれが買えるだけの財力を持っていることを周囲に示す機能だ。今僕が時計に求めるのは、その二つのうち、前者のそれを満たしてくれることだけだ。このCASIOの1500円の時計はきっとその仕事を完全に果たすだろう。