A Note

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YouTubeのあちこちを眺めていて今偶然この曲に行き当たったのですが、再生回数 "1,713,967 views" という数字に目を引かれました。これはYouTubeに上がっている日本の音楽家の曲としては非常に大きな数字だと思います。付けられた星の平均も5つです。どこで読んだのかは忘れてしまいましたが、坂本龍一本人がどこかでこの曲について "演歌みたいであまり好きではない" という意味のコメントをしていたのを覚えています。もちろん彼の言いたいことは分かります。一度聞いてみさえすれば露骨に聞き手の感情へ訴求するようなメロディーは明らかで、それが演歌の節回しのようだと自作について複雑な気持ちをこめて言うのでしょう。例えば "絶対に泣ける" という本当にうんざりするようなコピーで売られるコンピレーションアルバムが出るとしたら、その企画の担当者は "まず戦メリは決まりだね" と言うでしょう。泣ける曲として不動の地位を築いているのがこの曲です。そしてそれこそがこの曲の良いところでもあり、これだけ広範な人気を集めている理由でもあるはずです。一人の表現者の倫理としてセンチメンタリズムへの耽溺を自らに禁じるという坂本龍一の考え方はごく普通のものだと僕は思いますし、自分自身 "絶対に泣ける" で音楽を作ったり映画を作ったり小説を書いたりされては困るといつも思っていますが、ともあれ僕が思うに、様々なジャンルにおける露骨に感傷的な表現というのは甘い菓子と同じです。四六時中そのようなものを食べていてはいけない。しかしたまに食べるならおいしいものです。"Merry Christmas Mr. Lawrence" も、たしかに演歌であるかもしれませんが良い曲だと思います。

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今さらですがページのタイトルとURLとを分けて書くよりこうしてまとめてリンクにしたほうが賢いやり方であるように思えたのでそうしてみました。新たなテクノロジーを積極的に取り入れ、自らが根本的に変容することさえ恐れない。そのような可塑性こそこれからの時代を生きる人間に必要なものです。さて、僕は今回亡くなられたというザイラーさんが誰なのかまったく知りませんでしたし、申し訳ないことですが未だにこの人自身には興味もないのですが、新たな記法をテストするために記事に言及させてもらいました。ですからついでと言ってはなんですが、これも何かの縁と思ってザイラーさんの冥福も祈りたいと思います。記事によると、故人は生前には "甘いマスク" を誇ったということです。まったく素晴らしいことではないでしょうか。R.I.P.

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