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聖母なる月のまねび(他)―詩のコレクション (平凡社ライブラリー)

聖母なる月のまねび(他)―詩のコレクション (平凡社ライブラリー)

愛の書のため           Pour le Livre d'amour



僕は明日死ぬかも知れぬのに 愛したことがない。
僕の唇は一度も触れたことがない 女の唇に、
誰も僕にくれたことがない 眼ざしのなかで魂を、
誰も僕を抱いてくれたことがない 気遠くなった胸に。


僕がしたのは苦しむことだけ、全自然のため、
存在たち、風、花々、空のために。
苦しむ 僕の全神経で、些細なことにも、
苦しむ まだ充分に純粋な魂をもたぬことを。


僕は愛を軽蔑し 肉体を殺した!
誇りで夢中になって、僕は人生に抵抗した!
そしてこの地球上でただ一人 抑制した本能によって
僕は本能に挑戦する 辛辣な笑いとともに。


いたるところに、サロンの中で、劇場で、教会で、
最も偉い、最も洗練された、冷やかな男たちの前で、
繊細な魂を人が清らかに金メッキしなおした
そのやさしい、嫉妬深いか尊大な眼をした女たちの前で、


僕は考えていたものだ。皆ああなったのか! 僕は聴いていた
畜生どものけがらわしい交接のあえぎを!
三分間の激情のためのなんという泥沼!
男たちよ、品行方正であれ! おお女たちよ、愛嬌でもつくれ!


だらしのない自己憐憫に浸るのを大いに得意ともする僕としては、この詩には親しみの感情と、嫌悪の感情とを同時に覚える。明確に認識する自らの恥部をそのまま他者の中に見つけ出してしまうとき、私たちは、自分の愚かさがそこに立っているのだと理解できるから、恥ずかしく思う。


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若き日のフェデリコ・フェリーニ。いかにも"イタリアの伊達男"という感じ。子供っぽい茶目っ気を決して失わずにいて、女性に甘えるのがとても上手そうだなと思える。この上目遣いはどうか? さぞかしもてたことだろうな…。


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