A Note

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Mitsubishi SpaceJet is done

news.yahoo.co.jp

 

最初から何もかもが上手くいかなかった三菱の中型旅客機、三菱重工から公式にプロジェクトの凍結が発表された。開発の難航による納入延期があまりに多すぎて、本当はいつ量産を開始するつもりでいたのかさえもうよく覚えていない。

「一旦立ち止まり」という苦笑を誘う表現が使われている。三菱重工はこの言い回しに、今は立ち止まるが時期を見てまた歩き出すつもりなんです、開発を再開する可能性があるんですという建前を込めているのだが、本当にそれができると思っている人は三菱重工の中にさえ誰もいないだろう。止まったその場所で朽ちて即身仏になるプロジェクトだ。

当初の目論見から言えば、この飛行機は本当は2013年には完成させて、世界の航空会社へ引き渡しを始めたいものだった。つまり今の時点で数えても、もう7年前の古い設計になっている。

可能性はゼロに近いが、それでも万が一開発が再開できるとして、それが5年後ということはないだろう。Covid-19のおかげで膨大な航空需要が一瞬で蒸発して、それはウイルス以前の水準には戻らない。たった5年でスペースジェットをやり直そうという市場環境が戻ることはない。では10年後にはどうかといえば、その頃にはこの飛行機はもう17年前の設計となり陳腐化している。

それに再び手を入れて、未来のある時点で競争力を持ち利益を出せる飛行機が完成するとは思わない。

三菱重工はこのついに飛び立つことなく終わったスペースジェットが地上を這い回るうち開発費を逐次つぎ込んできた結果、今までに1兆円使っている。まったくのゼロから新しい旅客機を開発するのにとんでもない金がかかること自体は理解できるが、1兆円使って型式証明さえ取得できず量産を開始することもなくプロジェクトが停止に追い込まれた。

今思い立ってTeslaがR&Dにどれだけの金を使ってきたのか調べると、*12010年から2019年までの10年間の累計を足し合わせて7000億円。

EVと旅客機は別のものだが、7000億円で何が作れるか考えるための目安になる。

1兆円かけて何も作れなかったプロジェクトなんて前代未聞で、人類の技術史全体を見渡してみてもこれはかなりすごい達成でしょう。尊大で奢った天下の三菱重工だからこそ到達し得た愚かな帰結。

この歴史的な敗北は精密に分析され、プロジェクトマネジメントの完璧な失敗例として世界中のMBAコースで教えられるケーススタディになるでしょう。